防蟻(ぼうぎ)処理工事の必要性は?施工する意味を解説。

防蟻処理とは

不動産コラムNo.007

防蟻処理とは中々、馴染みのない言葉かもしれませんが、読んで字の如く蟻を防ぐ処理です。

蟻を防ぐってどういうこと?そんなの本当にやらないといけないの?と思った方は必ず見てください。知らないと取り返しのつかない事になるかもしれません。

そんな防蟻処理について今回は解説していきます。

そもそも防蟻処理とは

害虫駆除

防蟻処理とは具体的に言うと建築物へシロアリが侵入をするのを防ぐ為に行う処理です。

何故シロアリを侵入させてはいけないのでしょうか。答えはシロアリが木材を餌とするためです。シロアリの侵入を許してしまい、シロアリの餌場にされてしまった住宅は、気がつかない内に構造材をバリバリと食い散らかされ、ボロボロにされてしまいます。

上の写真はシロアリによって構造材であるスタッドが食い散らかされています。この様に構造材に被害を受けた場合、修繕・補修に大きな費用が掛かります。

シロアリの種類

甚大な被害をもたらすシロアリですが、住宅に被害を出すものは下記3種類になります。

ヤマトシロアリ

ヤマトシロアリは北海道北部を除いて、本州全体に分布しているシロアリです。

シロアリの特徴として乾燥、日光、空気の流れ等を嫌い、湿気が多い、暗所を好みますヤマトシロアリも例に漏れず、外に出ることは少なく土や排泄物等でつくった蟻道というトンネルを通じて移動しています。

湿った木材を好みますが、自ら水を運ぶ事が出来ないため、木材の湿った部分のみを集中的に食すに留まり、被害は局所的になる傾向があります。

イエシロアリ

イエシロアリは神奈川県以西の沿岸部を中心に分布しているシロアリです。

一度営巣すると爆発的に繁殖し、その数を増やします。その数はヤマトシロアリが約2~3万匹の所をイエシロアリは100万匹程にもなります。また、ヤマトシロアリと違い、水を運ぶことができるので、木材という餌にたどり着いたが最後、自ら木材を湿らせどんどん食い進めていく事が出来ます。

イエシロアリの被害は家全体に広がる事も多く、住宅そのものに甚大な被害をもたらします。

アメリカカンザイシロアリ

アメリカカンザイシロアリはアメリカからやってきた外来種ですが日本でも徐々に生息域を広げつつあります。

アメリカカンザイのカンザイとは「乾材」という意味で、乾いた木材を餌とします。他のシロアリとは違い湿った木ではなく乾いた木を食べるので、木造住宅はそれだけで標的となってしまいます。また被害が表面化するスピードがそこまで早く無いため、被害に気づきにくく、発見した時には木材の中身がスカスカになるまで食いつくされているといった事もあるそうです。

上記2種のシロアリと違う点は、乾燥した状況下でも活動できるという事です。

外来種ということもあり、既存のシロアリとは生態が違うため、対処法等も確立されておらず、既存の防蟻施工ではアメリカカンザイシロアリの被害を保証しないという場合も多いです。

ベタ基礎やマンションでもシロアリは来るのか

一般的にシロアリは乾燥や光を嫌い、地中を移動し、湿った木材を食します。それでは地中から侵入する場所の無いベタ基礎の建物や、鉄骨、RC造といった木造で無い建物はシロアリの心配をしなくても良いのでしょうか?

結論から言うと、ベタ基礎でもマンションでもシロアリが侵入する可能性はありますベタ基礎の例でいうとコンクリートは地震の影響などでクラックが入ったり、乾燥、収縮することで、ほんの僅かな隙間ができる事があります。しかし、ほんの僅かな隙間でもシロアリからすれば良い通り道になります。床下に侵入されると蟻道を作り、束を登れば、すぐそこに餌である木材があります。

鉄骨造やRC造も同じ様な形で侵入される可能性があります。シロアリは雑食性で木材だけではなく、うすい金属程度なら食い破ることができるので、少しでも隙間があれば広げて侵入する事が可能です。木造以外の建物の場合は構造材というよりは内装のフローリングや巾木、建具等が餌にされる可能性があります。

また、地中からだけでなくシロアリが羽アリとなった際は飛翔能力を獲得しますので、ベランダなどに落ちたシロアリがそのまま室内に侵入するケースも考えられます。

シロアリを家の中で見つけたら

仮に家の中でシロアリを見つけた場合、可能であればシロアリを捕獲しておくと種類が特定でき対策が立てやすくなります。ただし殺虫剤は極力使わないようにしましょう。殺虫剤に含まれる忌避剤の匂いに反応してシロアリが巣を移動させてしまう可能性があります。

また、直ぐにシロアリの専門業者に対応を依頼するようにしましょう。家の中でシロアリを見たという事は、既に宅内で繁殖してしまっている可能性が非常に高いです。

対策が遅れれば遅れるほど、シロアリによる被害は大きくなる一方です。

防蟻処理工事の施工方法

シロアリから自身の家を守るため、また予期せぬ支出を増やさない為にも防蟻処理は必ず施工しておきたいです。
では、具体的に防蟻処理はどのように行うのでしょうか。詳しく解説していきたいと思います。

薬剤散布・充填

薬剤を建物の基礎周りの地面や床下等に散布し、薬剤による保護層を作ることでシロアリを寄せ付けないようにします。また、浴室や玄関のタイルの裏など必要な場合は穴を空けて中に薬剤を充填します。即効性があり、使用する薬剤にもよりますが、効果は5年程は持続します。

ペットや人体に影響の少ない物がほとんどですが、健康に全く悪影響がないとは言い切れない部分がネックです。

ベイド設置

筒状の罠を地中に埋め込み、中に薬剤入りの餌木を仕掛けておきます。餌木に食いついたシロアリは同時に薬剤の影響を受けます。シロアリはお互いの体を舐め合うという習性がありますので、薬剤の影響を受けたシロアリが巣に戻ると、他のシロアリに薬剤の影響が伝播していき、最終的に巣が壊滅します。薬剤の効能は遅効性の為、効果に即効性はありませんが、発生したシロアリを根絶する事が出来ます。

なおベイド材を仕掛けても、シロアリが食いつかなかったり、定期的にベイド材をチェックし餌木を交換する等のメンテナンスが必要です。

外装工事

シロアリを薬剤散布やベイド工法で根絶できたとしても、侵入経路をそのままにしておくと、再び侵入される可能性が高くなります。基礎にクラックがあるのであればエポキシ補修や化粧モルタルで覆ったり、隙間があればシーリングを充填する等、シロアリの侵入スペースを潰すことも根本的な対策と言えるでしょう。

防蟻処理工事はどの業者で行えばよいか

シロアリ駆除業者というと少しグレーなイメージを持たれる方もいるかもしれません。
高齢者や主婦を狙って訪問し不安を煽って強引に施工を迫る悪徳業者も多いです。

それでは、どういった業者に頼むのが正解なのでしょうか。
結論をいうと保証内容が充実している業者を選ぶべきです。

大別すると施工保証と修繕費保証の2種類があります。

施工保証

施工保証は保証期間内にシロアリが再発生した場合は無料で駆除を行うというものです。

これは正直あまり意味がありません。シロアリ駆除に絶対はないので再度発生してしまう事ももちろんあります。しかし。一度散布した以上は再発生する可能性は低くなっているはずですし、再発生に気づくことができず大きな被害が出てしまった段階でシロアリを駆除しても補修には別途費用がかかりますので、あまりお得とはいえない保証内容です。業者によっては保証期限まで無料で点検を行い、再駆除は有料といった質の悪い保証をしている所もあります。

修繕費保証

結論をいうと、この保証をしてくれる業者に依頼しましょう。

修繕費保証とは保証期間内にシロアリが再発生し建物に被害が及んだ場合、その修繕費を防蟻業者が負担してくれるという保証です。つまり、防蟻処理で5年ごとに保険を掛けるようなイメージです。これならば万が一、シロアリ被害が発覚しても期間内であれば、余計な支出をせずに済みます。ただ、上述したアメリカカンザイシロアリには対応していない等、各業者で保証の免責事項がありますので、事前によく確認しておきましょう。

総括

防蟻処理は建物を守るため必ず行うべき工事になります。

防蟻処理を行う際は、修繕費保証をしてくれる業者を探し、保証内容や施工内容をしっかり確認したうえで依頼するようにしましょう。

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