不動産コラムNo.001
衣・食・住の住を担当する不動産業界には数多くの隠語や用語が存在します。
ウラ用語を理解して、不動産業者に惑わされないための知識を公開します。
不動産営業マン同士の話に聞き耳立ててみるのも面白いかもしれません。
不動産業界で勤めることになった新人さんは、是非覚えてみてください。
会社によって言い回しやニュアンスが異なることもあります。
また、会社内で公に使えない隠語もありますので注意してください。。
(アリバイ会社などを使っていることを上司にバレちゃいけない、など)
この記事の目次
不動産業界の用語を理解しよう
元付業者とは
大手の不動産業者(住友、三井、三菱など)も同様にそのように呼ぶ。
オーナーから委託されて、物件(部屋)の管理や入居者の管理、家賃の請求、クレーム対応などを行う。
オーナーとは媒介契約を結んで、月額3~5%の手数料をオーナーが元付業者に支払って、物件の管理をお願いしている。
元付業者は、店頭やネットで入居者を募集するのと同時に入居者を広く募集をするために国交省管轄の不動産流通データベースに登録する義務がある。
隠語:元付(もとづけ)
仲介業者とは
元付業者が掲載した不動産流通データベースの情報を元に店頭やネット(2次広告)にて入居者を募集する。
一般的にスーモやホームズ、CHINTAIなどのサイトに掲載している業者は、この仲介業者にあたる。
入居者から成約時に仲介手数料を貰うことをビジネスとしている。
隠語:仲介(ちゅうかい)、先物業者(さきものぎょうしゃ)
仲介手数料とは
1ヶ月分請求しないといけない訳ではない。
また仲介業者が仲介業者の判断だけで下げられる唯一のポイントである。
隠語:仲手(ちゅうて)、手数料(てすうりょう)
1次広告とは
転載されている情報ではなく、貸主や代理、専任媒介契約を結んでいる業者が行っている。
隠語:直付け(じかづけ)
2次広告とは
募集の内容は1次広告と全く同じになる。
しかし、仲介業者が行っている広告には故意に募集賃料を下げているケースもある。
物件自体が成約済みの場合も多々・・。
類語:エンド向け広告(えんどむけこうこく)、広告掲載(こうこくけいさい)
不動産業界の隠語を理解しよう
物出しとは
しかし、お客さんの希望の条件では物件は全然ヒットしないので、勝手に条件を緩めて探す。
例:「賃料8万まで、駅徒歩10分で!」→「賃料9万までで、駅徒歩15分」で探している。
※賃料が高くなれば、仲介手数料の売上も上がるし、物件数もやはり増える。
営業マンはめんどくさいので物だしはあまりしたがらない。
「いい物件あったら送りますね!」と営業マンが言った後、本当に送ってきたら物だししてる証拠。
送ってこなければ後回しにしてるか、面倒臭いのでお客さんから希望の物件を言ってくるのを待ってます。
隠語:物だし(ぶつだし)
物確とは
仲介業者が貸主や管理会社に物件の空室の確認をすることを指す。
不動産業界は未だに電話で確認してFAXで資料のやり取りをする。
メールでのやり取りは稀という古い体制が今尚残っている。
隠語:物件確認(ぶっけんかくにん)、空室確認(くうしつかくにん)
カラ電とは
具体的には、来店したお客さんの前で空室状況の確認をあえて目の前でするが、実際には電話はかけていない。
何をしたいのかというと、営業マンがその物件に決めたくない、案内したくないなどの理由から適当に申込が入ったなどの電話をすることによってその物件を「消す」ことができる。
「消し」についてはリンク先をご覧下さい。
隠語:空電(からでん)
類語:消し(けし)、ケシ(けし)
呼び物とは
「呼び物件」の略で「呼ぶ=来客する」の意味がある。
実際にはすでに成約していたり、申込が入っていたりする事が多い物件を指す。
下手をするとそんな物件自体がないことがある。
※適当な物件の外観と間取り図を組み合わせて、掘り出し物件をでっち上げる。
来客したお客さんには適当な「消し」を用いて物件を検討から外し、手数料を多く取れる別の物件にすり替えて紹介する。
また、一般的には「囮(おとり)物件」と呼ぶが、不動産業界内ではおとり物件という言葉はほとんど使われない。
隠語:呼物(よびぶつ)、呼び物件(よびぶっけん)、引物(ひきぶつ)、
類語:おとり広告(おとりこうこく)
当て物とは
なんらかの理由で決まらない物件をあえて見せることによって、その後に普通でも良く見えてくる現象を利用したもの。
大抵の場合、決め物を案内の最後、または当て物の後に見せることが多い。
営業マンの決めゼリフは「さっき見た○○の部屋より断然こっちの部屋の方がいいですねー!」
また、とてつもなく条件の悪い物件を見せることで、自分の予算では「このレベルの部屋しか借りられない」と気分をわざと悪くする効果もある。
すると少し予算オーバーでもいい部屋に住みたいという気持ちが沸き、予算オーバーの決め物にしてしまう・・。
比較対象が狂ってしまうと、普通の物件も良く見えてしまいます。
隠語:当物(あてぶつ)
類語:クソ物(くそぶつ)
対義語:決め物(きめぶつ)
決め物とは
大抵の場合、長期空室が続いていたり、ファンド物件などの利回り物件で、仲介業者が貰える手数料が多い物件がそのように呼ばれる。
またほとんどの場合、お客さんの予算からはオーバーしていることが多い。
中には本当に「ココは直ぐ決まる!」という物件を決め物と呼ぶこともある。
隠語:決物(きめぶつ)
対義語:当物(あてぶつ)、クソ物(くそぶつ)
クソ物とは
日当たりが最悪だったり、部屋が極小だったり、隣人が変な人だったり、理由はさまざまです。
1年以上空室が続くケースもあります。
逆にそんな物件を利用して(=当て物)、お客さんを揺さぶってきます。
使用例:「この物件まじでクソ物だわー」など。
隠語:クソ物(くそぶつ)
類語:当て物(あてぶつ)
対義語:決め物(きめぶつ)
ダマとは
使用例:ペットを飼育するが、オーナーにはダマでいく。
:事故物件だが、お客さんにはダマ。(宅建業法違反)
上記以外にもさまざまな使い方ができる便利なやつ。
お客さんと事前に打ち合わせして都合の悪いことを隠すこともできるので、一概に悪いものではない。
由来:マージャンの「ダマテン」から来ている
隠語:ダマ(だま)
のっけとは
賃貸で「のっけ」といえば、家賃や礼金などを上乗せすることで、管理会社からバックしてもらうことがあります。
仲介業者は宅建行法により、仲介手数料を賃料の1ヶ月+税までしか請求してはいけません。
ですが、仲介手数料以外の名目で収益を上げることについては制限されていません。
実際に上乗せされた賃料や礼金でも賃貸借契約通りであれば違法ではありません。
貸主や管理会社はお客さんを紹介してくれさえすれば何でもいいという悪しき習慣ですね。
隠語:のっけ、上乗せ(うわのせ)、礼金バック(れいきんばっく)
広告料とは
仲介手数料という名目では仲介業者は受け取れないため、広告料という名目になっている。
仮に賃料の1ヶ月分を広告料として、お客さんからは賃料の1か月分を仲介手数料として受け取ると、売り上げは、賃料の2か月分となる。
そのため仲介業者は広告料の付いた物件ばかりを勧めてくる。
中には広告料の付いた物件では仲介手数料は受け取らない業者もいるため、良く調べて賢く引越しをしたいところ。
隠語:AD(えーでぃー)、バック(ばっく)、KB(きっくばっく)、CB(きゃっしゅばっく)、業務委託手数料(ぎょうむいたくてすうりょう)、入居者対応補助業務実施手数料(にゅうきょしゃたいおうほじょぎょうむじっしてすうりょう)、業務委託手数料(かんりぎょうむいたくてすうりょう)
担ボとは
不動産の営業マンは仲介手数料や業者から貰った広告料に対してのインセンティブ報酬だが、やはり会社に持ってかれてしまう。
会社に持ってかれないようにするには、貸主やオーナーから直接もらうのが早いという短絡的考え。
類語:AD(えーでぃー)、バック(ばっく)、KB(きっくばっく)、CB(きゃっしゅばっく)
隠語:個人バック(こじんばっく)
在籍会社とは
水商売や職場を公にできない人がお世話になることが多い。
在籍会社によっては勤務先の情報を頻繁に使うので、貸主や管理会社にバレてしまうこともあるので、
使う場合はその在籍会社の持っている勤務先情報を精査する必要がある。
隠語:在籍会社(ざいせきかいしゃ)、在籍代行(ざいせきだいこう)、アリバイ会社(ありばいかいしゃ)
訪問販売とは
新聞、掃除道具、ソーラーパネルなどの業者のことを指す。
※ちなみに不動産業者とは仲がいいので、真剣に使いたい場合は仲のいい不動産業者からやり取りしてもらったほうがスムーズ。
隠語:訪販(ほうはん)
飛ばしとは
不動産業界内ではタブーだが、繁忙期は1人のスタッフが同時にカウンター接客するのでこの行為がしばしば見られる。
ちなみに貸主やオーナーにバレると担当や不動産会社はかなり怒られます。
※火災保険が未加入なので火災があるとマズい、施錠や戸締りの関係、などさまざまな理由があります。
部屋探しをしていて、一人で部屋を見に行ったことがある人は「飛ばされて」ます。
隠語:トバシ(とばし)
MBとは
メーターボックスの略。
たいていの場合、玄関扉の横にある金属製の扉を開けたところにある、電気や水道などのメーターが入っているスペースのこと。
間取り図にMBとかかれていればメーターボックスだと思ってほぼ間違いない。
※部屋の床面積には含まない。
しばしば宅配便などをそこに隠したりもしますが、鍵を掛けられないので大事なものはしまってはいけません。
隠語:MB(めーたーぼっくす)
類語:MB(めーるぼっくす)
※MB[1234]といった形の表記は、高確率でメールボックスの暗証番号を指します。
PSとは
パイプスペースの略。
ここもMBと似たようなものです。
基本的に水道管やガスの元栓があるだけなので、ほとんどあけることはありません。
また、梁や構造に埋め込まれているものについてはあけることもできないです。
※MBと同じで、部屋の床面積には含みません。
※パーソナルスペースの略ではありません。
※P.S.ではありません。
※プレイステーションではありません。
隠語:PS(ぱいぷすぺーす)
不動産契約関係の隠語を理解しよう
重説とは
宅建業法第35条で定められた契約締結前に説明する書面である。
この書面は、宅地建物取引士がお客様の面前で宅建士証を提示の上、読み上げなければいけない書類です。
なぜか部屋を案内してくれたスタッフとは違うスタッフが説明することも多いが、それはそのスタッフが宅建士を持っていないからである。
宅建士持ってない不動産の営業マンってどうかと思いますが。
宅建業法第35条で定められているので、35条書面とか言われたりもしますが、大体「重説」と呼ばれます。
隠語:35条書面(さんじゅうごじょうしょめん)、契約前説明(けいやくまえせつめい)
宅建士証とは
宅地建物取引士の資格を証明するカード型の免許証のこと。
重要事項を説明する際は、お客さんから求められなくて提示しなければいけない。
また旧名称は【宅地建物取引主任者】であるが、古い名称のものも有効である。
(古いものは5年に一度の更新の時に切り替わります。)
合格率は2割から3割であり、法律系の試験の登竜門扱いされている。
持っていなくとも物件案内などの業務に従事することはできる。むしろ持っていない営業マンの方が多い。
また不動産を営む事務所には5人に一人の専任者を置く必要がある。
隠語:宅建(たっけん)
売契とは
賃貸借契約書は何故か「賃契(ちんけい)」とは略さない。
賃貸の場合は、そのまま「契約書」と呼ばれる。
※売買も賃貸も扱う業者だとチンケイと呼ぶことがあるようです。
ただし賃貸の場合、大事なことは全部重要事項説明書に書いてあるので、あまり気合をいれて話しを聞かなくてもよし。
※売買はだめです。不動産屋の作る書類は適当で間違っていることが多々あります。
(前に使った書面を使いまわししたりしています。)
ちなみにこっちの書面は宅建士が読まなくてもいいとされているので、誰でも読めます。
重要事項説明で宅建士が出てきて、読み終わると担当に代わって契約書を読むケースが多いです。
宅建業法第37条で定められているので、37条書面とも呼ばれますが、「売契」と呼ばれます。
隠語:37条書面(さんじゅうななじょうしょめん)、売契(ばいけい)、賃貸借契約書(ちんたいしゃくけいやくしょ)、賃契(ちんけい)
まとめ
不動産会社の電話しているところを聞いてみると隠語を使っていることがあります。
「礼金のっけてるんですよ」などのお客さんに不利になる場合もあります。
お客さんは分からないと思っているのか、不動産の営業マンは電話の内容をあまり隠しません。
不動産業界の隠語や用語を理解して、賢くお部屋探しをしましょう!
関西と関東ではかなり意味合いが異なったりしますので要注意です。
※物件データベースでは、東京都内を標準にしています。
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追記:2016/3/31
7項目追加して、タイトルを変更しました。
追記:2016/5/16
4項目追加して、タイトルを変更しました。
追記:2016/6/6
2項目追加して、タイトルを変更しました。
追記:2017/1/28
1項目追加して、タイトルを変更しました。
30代・金融系勤務。
物件好きが祟り、物件データベースを立ち上げる。
新築マンションが建つと聞くと飛んでいってしまう。
古い物件も好き。